副産物?

 豚インフルエンザから始まって、今では「新型インフルエンザ」と呼ばれるようになったインフルエンザ
随分マスク人口も減って騒ぎが収まりつつあるように見受ける。
最近は盛んに「新型インフルエンザは弱毒性である」という報道が流れていることも手伝って
熱しやすく冷めやすい日本人はそろそろ飽きてきたのだろう。

 さて、日本国がインフルエンザに顕著に脅かされるようになってから、毎日ニュースを見ていて
私はあることに気がついた。
新しい殺人事件が全く報道されない。
過去の殺人事件の経過や裁判の判決などはよく報道されているのだが
新たに殺人事件が起きたというニュースを全く見ることがなくなったのだ。
実際は起きていても単に報道されないだけなのか。
いや、それはないだろう。
実際は起きていても事件が発覚していないのだろうか。
それは、あり得ないことではない。
だが、確実に減っているような気がする。

 一体何故かと考えてみた。
自分の中で出た答えは「日本人は今インフルエンザで忙しくて人を殺している暇などないから」だった。
恐らく、室内を拠点として業務的に行われる詐欺行為等は継続して行われているのだろうが
人の感情が大きく左右する殺人という行為については「今はそれどころではない」のかな、と思う。
個人的には、インフルエンザが流行り始めて皆がマスクをして外に出るようになりやがてはマスクが足りなくなった頃に
電車の中でマスクをしている人としていない人との間でいさかいが発生し、
最悪の場合殺人にまで発展するのではないかと密かに危惧していた。
だが、今のところ殺人・傷害事件どころか小競り合いが起きたという話さえも聞かない。
日本人は自分のことで精一杯忙しいんだ、と納得した。

 結局のところ、日本人はずっと暇で退屈だったのだ。
そして、その、本来なら「余裕」と呼ぶべきものの扱い方を幼い頃から親に教えてもらうこともなく
かといって自分で考える能力もなく、どうしていいのかわからずに持て余していたのではないだろうか。
考える力のない人間は理性よりも感情や本能で動く(もはや「人間」ではない)ことが多いため
ほんの少しでも自分の気に入らないことがあれば、即相手に危害を加えるという行動に出る。
一番楽だからだ。
だから、今回のように少しでも自分の身に危険が及びそうな出来事が起きると、
とりあえずそのことだけを考えていれば社会の流れから外れることはないため、そのことで頭がいっぱいになり
更には過剰に反応して必死で自己の身を守ろうとする。
そのため、普段なら人に対して危害を加えることで気を紛らわす人も、そっちの方に気が回らなくなる。
あるいは、我が身が危険にさらされていると思うことで、急に周囲の物や人が愛おしく感じられるようになる。
若しくは、自分の存在する場所を確保しようとして周りとの結びつきを殊更強固にする。
結果、犯罪が減る。
そういうことなのではないかと思う。

 私が日々流れるニュースから受ける印象は上記の通りだ。
幸い、新型インフルエンザは弱毒性のようで国内における死者が出た形跡も、これから出ることもなさそうだ。
この程度の災いで、身勝手で平和ボケして思考能力を失いつつある人間の脳を刺激して犯罪をも減らすことができるなら、
何よりだと私は思う。
しかし、もっといいのは、人々が自分の頭で考え行動し人間として正しいことを行うことだ、と思う。






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