日本郵政と市役所との闘い

 少し前の話。

 定額小為替 を買いに郵便局へ行った。
急に戸籍謄本が必要になったからである。
私の本籍地は遠くの過疎地にあるため、到底取りに行くことなどできない。
従って、郵便で取り寄せることにした。
ネットで入手方法を調べたところ、手数料¥450、定額小為替なるものを
返信用封筒とネットからダウンロードして記入した申請書と同封して送るように、とのことだった。
「定額小為替」という言葉など見たことも聞いたこともなかったので、私は読み方を調べ
意気揚々と郵便局へ行って『テイガクコガワセを450円分ください』と言った。
650円求められたので怪訝な顔をしてみせた。
郵便局のことだから、どうせ幾ばくかの手数料を取られるだろうとは思っていたが、
具体的な手数料額までは調べていなかった。
とはいうものの、450円の物に対して200円もの手数料がかかるとは思ってもいなかったからだ。
私の怪訝な顔と止まった動きを見て、郵便局の窓口の人は
『一枚につき手数料100円がかかるので、400円1枚と50円1枚で200円の手数料がかかります』と言った。
唖然とした。
『50円のものにも手数料100円かかるんですか?』と声を震わせて尋ねると、そうだと言う。
驚愕した。
『400円1枚と50円1枚ではなくて450円1枚というのはないんですか?』と声を戦慄かせながら尋ねると、ないとのこと。
呆然とした。
『450円1枚のものもなくて、50円のものにも100円もの手数料がかかるんですか?それは本当にそうなんですか?』と目の淵を赤くして尋ねると、そうだと言う。
絶句するしかなかった。
『こ・こ・こ・戸籍謄本を…』と言いかけた。
窓口の人は『はい、戸籍謄本を取り寄せるために450円かかるんですよね』と話を引き取ってくれた。
そして、その人は話を続けた。
500円であれば1枚なので手数料含めて600円で済むとのこと。
おそらく私より以前に何度も同じような応対をすることを強いられてきたのだろう。
躊躇なく500円の定額小為替を勧めてくれた。
オヤクショに出すものなのにきっちりの金額で出さなくていいのだろうかと思いながらも、
ついつい500円1枚を購入して遠方の市役所に送ってしまった。
後でネットで調べてみたところ、これまでは定額小為替1枚につき発行手数料10円だったのが、
郵政が民営化されてから、1枚100円に上がったそうだ。
そのことで、過去に類をみないくらいクレームがきているらしい。
当たり前だと思う。
かといって、手数料を下げることも450円の定額小為替なるものを作ることもできないらしい。
何故だろう。

 国営のものが民営化されたことによって従来と比べてより悪くなるとやり場のない怒りがこみ上げる。
郵政民営化にしたところで、散々好き放題勝手に国民を振り回しておいて、更に国民に迷惑をかける。
一体どういうことだ!と怒鳴りつけたくなる。
だが、それはできない。
何故ならば、我々一般消費者が通常相対するのは民営化することを決定した人間ではないからだ。
仮に、その郵便局の一番の責任者を怒鳴りつける機会を得たとしても、
その人も被害者のうちの一人なのだと思ってしまうと怒鳴りつけることなど到底できない。
まして、窓口に座っている一担当者は一番の被害者だ。
自分の怒りをぶつけてはいけない。
と、そんなことを考えていると、怒りはどこへもぶつけることができずに自分の中でくすぶり続ける。
そういう私もやはり被害者なのだ。

 さて、恐る恐る送ってみた500円の定額小為替だったが、やがて市役所から返信がきた。
封筒を開けてみると、戸籍謄本と50円分の定額小為替が入っていた。
オヤクショだから1円でも自分のところで計算している金額と違っていてはいけないのだろう。
気の毒なことだ。
450円要求されて500円送るのは私だけではない。
ということは、地方自治体が日本郵政株式会社に無駄な出費をさせられている、ということになる。
それは日本郵政株式会社が国民の税金を無駄に取り込んでいるということにはならないのだろうか。
私個人がきっちり450円分購入するために余計な手数料を払っても同じことだ。
市役所が手数料を100円単位に統一するか、日本郵政が何百何十円と細かいところに対応するか、
個人的にはそのどちらかしかないと思っている。
というより、どちらかにしないと近いうちに国民の怒りが爆発することになるだろう。
市役所か日本郵政、どちらが勝つか見ものだ。






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