亀の甲より年の功

 夏真っ盛りの今日この頃。
暑がりな私は溶けそうだ。
近年、どうもクーラーをつけ難くなってきた。
あまりにも暑いのでクーラーをつけようとするのだが、そうしようとする度に「地球温暖化」という言葉が思い浮かぶ。
自分がクーラーをつけることによって地球温暖化現象が進んでいくのだと思うと、あと数時間我慢しよう、と思う。
毎年できるお腹の汗疹は、今年も元気に悪化への道を一直線だ。
私のかわいい扇風機は、つけても熱風しか送ってこない。
それでも、自室で熱中症になどなったらみっともないなぁ、と思いながらも我慢している。
一人だと我慢できる。
汗を垂らしていても、誰にも文句を言われないからかもしれない。
あるいは、汗を垂らして腹が立っても、誰も八つ当たりする相手がいないからかもしれない。
とにかく一人で蒸し風呂のような部屋の中でじっと我慢大会を続けている。
それなのに、私は常に食欲旺盛で夏バテとは無縁だ。

 先日、テレビの画面をぼけ〜っと眺めるチャンスがあった。
ある局で、夏バテに関する街頭調査のようなことをしていた。
道行く人々に、夏バテしていませんか、と尋ねて回っていた。
ある年配のご婦人にマイクが向けられたときのこと、そのご婦人はにこやかに、しかしきっぱりと『ない』と答えていた。
そのご婦人は、人間は一生懸命働いていたら夏になど負けない、遊んでご馳走ばかり食べていると夏に負けるのだ
とおっしゃっていた。
その言葉が妙に心に残った。
確かに彼女の言う通りだ。
現に、働き者である私の母が夏バテしているところなど見たことがない。
私にしても、あれこれ働き回っていると忙しくて夏バテしている暇がない。
暑い暑いと言って基本的にクーラーのついた部屋で過ごし、遊びに行くときだけ喜々として外に出る、
そういう生活をしている人ほど、だるいだるい夏バテだ、と言っているように思う。
きちんとやるべきことをやって汗を流して食べるべき物を食べていたら夏バテなど無縁だ。
もちろん、病気にかかっていたりして病み上がりのときなどはその限りに非ず、だが。
私もいつか歳をとったら爽やかに誰かに言ってやろうと思う。
『人はきちんと働いて食べるべき物を食べていれば夏バテなんかしないのよ』と。
何故今のうちに言わないかというと、それは私がまだまだ若輩者だからだ。
日本人は自分が若造扱いしている人間に正論を突きつけられることをよしとしない。
年老いた人の言葉だからこそ、初めて重みがあるものとして受け止められる。
ある程度歳をとるまでは、生意気な奴だという目で見られてせっかくの正論が無駄になる。
だから、私は歳をとるまでは黙っていることにしようと思う。
歳をとったらにこやかに爽やかに説いてみせよう。






back
back to TOP世渡り下手の物語







SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送