独学の限界

　私はこう見えて､パソコンが大好きだ｡
本当は恐ろしく機械音痴で母ですら使いこなせるビデオのＧコード予約とやらが未だにわからない｡
精密機器を触らせると必ず壊すというので昔から機械は触らせてもらえなかった｡
大学の一般教養の授業で情報処理論が必須だった｡
使っても使ってもさっぱりわからず､このままでは単位を落としてしまうという危機感から
大学で使っているという理由だけで何の興味もないのにアップルのマッキントッシュを買った。
買って１年ほどで自分で壊した。
会社に入って初めてwindows搭載のパソコンを使うことになって､電源の入れ方からわからなくて四苦八苦していた｡
精密機器と接すると、かなりの確率で私はデストロイヤーになった｡
そんな私がいつの間にか本と睨めっこしながらとはいえ､自分でパソコンを組み立てたりネットワークを組んだり
部品を買って機能を追加したりするようになっている｡
親の目にはそれがものすごく不思議な光景に映るらしい｡
機械か機械でないかということではなく､単に興味があるかないかの問題だと
何度説明してもわかってくれない｡
極端過ぎると言って呆れて首を振ってため息をつく｡
そのくせ､パソコンで何か問題が起きるとすぐに電話をして助けを求めてくるのだからゲンキンなものだ｡
わからないことがあるとすぐに聞いてくる｡
私にもわからないと答えると､じゃぁ調べておいて､と宣う｡
こっちはそう言われる度に必死になってあちこち調べたり悩んだり頭を抱えて困ったりしているというのに､
彼らは自分達が変なことをしても私に言えば何もかも解決すると思っているに違いない。
次から次へと勝手に変なことをしてはパソコンがおかしいと言って連絡してくる｡
自分達が私のパソコンに関する知識向上の大きな要素となっていることにまったく気づいていない。
私はあくまで素人なのだから､頼むからあまり変なことをしないでくれと懇願しても､わかったわかったと口先だけでお構いなしだ｡
たまたま私がパソコンに興味を持っているからいいようなものの､そうでなければ相当迷惑な親だ｡

　私の知識は全て本とネットから仕入れたものだ｡
無の状態で人から直接教えてもらったことは何もないと思う。
独学であるが故に､自分の好きな分野しか勉強しないので知識が偏っている。
ｗｏｒｄは興味がないのでまったく使えない。
ｗｏｒｄよりも一太郎の方が使い勝手がいいように思う｡
ａｃｃｅｓｓ及びｐｏｗｅｒｐｏｉｎｔはある程度使える。
特に好きなわけではないが､代わりになるアプリケーションを知らず､使う必要に迫られたから使える。
私はｅｘｃｅｌが極端に大好きだ。
機能を駆使していかに効率よく仕事をこなすか､ｅｘｃｅｌを触っているとわくわくする｡
関数をネストさせて自分の思っている結果が出せると至極すっきりして満足な気分になる。
しつこいようだが､全て独学だ｡
『○○さんは派遣だったからそういうの使えるんだよね』と言われることがある｡
馬鹿馬鹿しい。
私が派遣時代に得たパソコン関係の知識など､言葉通り「皆無」だ｡
そういうことを言いたがる人の気持ちもわからなくはないが､できればこの知的好奇心と向上心を認めてもらいたい｡

　ｅｘｃｅｌが好きな私だが､ＶＢＡに手を出していない｡
興味はあるのだが､まだまだ初心者である私には難しい。
どれほど自分で勉強をしてパソコンに明るいとはいっても､所詮は独学のみの素人。
興味が持てない分野には手を出さないのでピボットテーブルも使えない。
ピボットテーブルこそｅｘｃｅｌの最も優れた機能だと言う人も少なくないが
私の興味が向かない限り手が出ない。
ＶＢＡは興味はあるものの､難しくて手が出ないのだ｡
素人の私にはプログラムの世界は手を出し難い｡
何年か前に本を買ってＶＢＡの勉強をしてみたが､挫折した｡
自分の無力さを思い知らされたものだ｡
あれから数年、少しは実力もついたのではないかと思い､懲りずにＶＢＡに手を出すことにした｡
慢心を起こしているわけではない｡
ただ､興味があるということと以前挫折したのが悔しいというだけの話だ｡
そこで､再び自分を奮い立たせてこの頃少しずつＶＢＡの勉強をしている｡
確かに前回勉強をしたときよりは組み立て方が理解できるような気はするが､まだまださっぱりわからない｡
存在しているものをある程度解読できるようにはなるかもしれないが､自分でＶＢＡを組むところまではなかなかだ｡
自分のペースでいくと､ＶＢＡを使いこなせるようになるまでに寿命が尽きてしまうのではないかと心配だ｡
ｅｘｃｅｌマスターまでの道程はまだまだ遠い。

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