むくみ

 朝起きて、顔がむくんでいることが多い。
程度は日によって違うものの、むくんでいないことなどほとんどないくらいだ。
顔のみならず、手もぱんぱんに腫れている。
我ながら恐ろしい。
朝、顔や手がむくんでいるときは基本的に非常にだるい。
起きた瞬間から疲れきっている感じがして起き上がれない。
顔がむくんでいれば目は開かないし、手がむくんでいれば指が痛くて曲がらない。
以前、顔がむくんでいたある朝、母に「地獄から這い上がってきたみたいに疲れきった顔ね」と言われたことがある。
要するに、それほどひどいらしい。
女はむくみやすいとはよく聞くが、私はひどいときは本当にひどすぎる。
リンパマッサージがいいと言われてマッサージをしてみたが、次の日の朝早速派手にむくんでいた。
寝る前の水分を控えるとよいと聞いて寝る前は一切水分を摂らないようにしてみたが、これも私には無関係だった。
塩分の摂り過ぎが原因の場合もあるらしいが、私は決して塩分の摂り過ぎではないと思う。
顔がむくんで目が開かないときは温めて冷やしてを繰り返すといいと読み、試みたが無駄だった。
手がむくんでいるときは手を心臓よりも高い位置に上げてグーパーを繰り返すといいと聞いてはやってみたが、
そもそもむくみがひどすぎて痛くて指が曲がらないのだ。
そういう日は会社に行くのが億劫で億劫で仕方がない。
当然だろう。起き上がるだけでも辛いのだから。
泣きたくなる。

 むくんでいる日の朝は体全体が重く、頭が痛い。
目覚めたら鉛のような体を無理やり起こすという、朝に非常にそぐわない作業から始めなければならない。
だるい、痛い、重い、などと呟きながら朝食を作り、お弁当を作り、身支度をする。
起きてからむくみが何とかなるまで約2時間かかる。
だから、出かけるとき(ほとんど毎日だが)は出かける2時間前には起きておかねばならない。
2時間経ってもどうにもならないこともあるが、そういうときはどうにもならないのだと諦めることにしている。
そういう日はどうせ夜までどうにもならないようになっているのだから。

 むくみの特にひどい朝、起きると既にぐったり疲れていることが多い。
それは単にむくみのせいではないと思う。
最近気付いたのだが、むくみが特にひどいときは大体前の晩に嫌な夢をみていることが多いように思う。
趣旨は大体同じようなもので、誰かか何かに追いかけられて逃げ惑う夢がとても多い。
常に必死に逃げ回っている。
それですっかり疲れてしまう。
ある晩、本を読みながら寝入ってしまい、また追いかけられている夢をみた。
物陰に隠れつつ、走って走ってひたすら走って逃げ惑い、
神経を擦り減らして体力も使い果たしてへとへとになった頃、目が覚めた。
部屋は明るく、壁掛け時計が「11」を指しており、、外界ががやがやと騒々しかった。
てっきり自分が寝過ごしてお昼の11時になってしまったのだ、遅刻だ、と心臓が停まりそうになったが、
よく見てみると、部屋が明るいのはスタンドをつけっぱなしで寝入ってしまったためであり、
時計の「11」は23時の「11」であり、外界がうるさいのはどこかの酔っ払いの集団が騒いでいたからだった。
ということは、おそらくうたた寝したのはほんの20分か30分くらいだろう。
その間にいつ終わるとも知れない嫌な夢をみて、目覚めて一瞬悪夢をみたような気持ちになり、
ぐったり疲れて気がつくと、顔と手がすっかりむくんでいた。

 妙な夢とむくみの関係はよくわからないが、私は少し疲れてしまった。
嫌な夢をみて疲れるのも、むくんでいる体を苦労して起こすのも、
疲れることもしていないというのにすっかり疲れきった状態で出勤するのも。
夢をみないようにする機械と、むくむ度にむくんだ部分の水分を吸引する機械があったらいいのにな、
とつまらないことを思う今日この頃。






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