地球温暖化防止

 しばらく前から政府が地球温暖化防止を提唱し始めた。
その一環としてクールビズなどと呼ぶ、男の人の上着及びネクタイを外す代わりに
エアコンの温度を28℃に設定しましょうというような、サラリーマンの服装の軽装化を奨励しているようだ。
サラリーマンの服装を見直すことはとてもいいことだと思う。
真夏の暑苦しいときに汗を流しながら長袖の上着を着て周りをうろうろされると
見ているだけでも気分が悪くなる。
見ているだけで気分が悪くなるということは、きっと着ている本人は死にそうになっていることだろう。
以前からそういう日本のサラリーマンの姿をおかしなものとして私は捉えてきた。
あくまで国を挙げてそのような政策を打ち出さなければ誰も動けないというのが少々不服ではあるが、
今回の政策には大いに賛同の意を表する。
地球温暖化防止などという大義名分などなくても、その時に見合った服装をするのが正しいと思う。
先日、人前で挨拶をする際に『決してだらしないわけではありません』と言い訳をしている人を見たが、
暑い時期に上着を脱いでネクタイを外すことの何がだらしないのだろうか。
季節に合った服装をしていてさっぱりしているではないか。

 さて、エアコンの温度を28℃に設定することについてはいささか疑問を持ってしまう。
私の勤務先では早々にクールビズ制度に乗っかることにしたらしい。
エアコンの温度設定を28℃に上げられた。
おかげで地獄のような毎日を送る羽目になってしまった。
何十台もの端末やプリンターやその他OA機器に囲まれたスペースに人がぎっしり詰まっている。
そんなところではとてもじゃないが28℃は28℃として機能しない。
うちわを手放せなくなった。
肩に電話を挟んで片手でメモを取りながらもう片方の手でうちわでぱたぱた。
キーボードを少したたいてはしばし休憩でうちわでぱたぱた。
仕事の効率の悪いことこの上ない。
座っているだけなのに汗で背中に服が張り付く。
同じ28℃に設定しているはずなのに、廊下に出るとすうっと涼しい。
人口密度の低い他のフロアーを訪ねるとこれまた涼しい。
同じ28℃のはずなのに、私のいる区画が異様に暑い。

 何故、国の官僚というものは皆等しく同じことをさせようとするのだろうか。
例えば、自分達は28℃に設定していてもさほど困ることはないのだろう。
仕事場までの道程は車なのだろう。
ラッシュの電車で通勤することなどないに違いない。
仕事場に着いたら自分の部屋があるのではないか。
会議をするときだって、きっと広い部屋で人口もあまり多くない状態で行うのだ。
そりゃぁ、28℃でも上着とネクタイを取り外せば十分快適な生活が送れることだろう。
しかし、こちらは毎日汗だくになって通勤しなければならない。
会議をするときも、下手をすれば膝を突き合わせるようなスペースで行われることもある。
端末やプリンター及び何十人もの人間の熱気で茹でダコになった気分だ。
暑さでイライラしてだるくて仕事をするどころではない。
おまけに、毎年の気温を見ている限りでは、私のいるところは全国でトップを争うくらい暑いような気がする。
一般民間人の生活形態も知らないくせに無責任に28℃を推奨しないでもらいたいと思う。
国が28℃にしましょう、と呼びかければ、企業は喜んで大きな顔をして温度設定を上げるだろう。
その方が確実に電気代が安くなるのだから。
地球の温暖化が進んでいるのは事実だし、それを防止することは間違いなく大切なことだと思う。
地球の未来を考えると、温暖化防止対策を講じる必要は確かにあると思う。
だが、その場その場に応じた対策をとることが必要なのではないだろうか。
あまり外を出歩くことのないであろう官僚達は30℃くらいに設定しておいても大丈夫なのでは。
狭い空間に人が詰め込まれている場所では28℃は少し辛すぎる。
それぞれ必要に応じた措置をとってくれたらと思うのだ。

 国が奨励しているからという理由でしか動かない企業も情けないと思う。
それぞれの環境に適した対応ができないものなのだろうか。
いつまで経っても「みんな一緒でなきゃ」の体質が抜けない国だなぁ、と改めて思わせられる。






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