しもやけ

 子供の頃、靴下が嫌いだった。
靴下だけでなく、体に張り付く服は全て嫌いだった。
そして、そのまま大きくなってしまった。
元々肩幅が広くて普通の女の人の着る服が入らないということもあるのだろうが、
基本的に体にフィットする服は嫌い。
襟が首の周りをうろうろする服も嫌い。
無理をしてタートルネックを着た日などは、気づけばずっと首の部分を引っ張っている。
身動きの取りにくい服を着ていると、イライラして体から剥ぎ取りたくなるのだ。
だから、正式な場に出る以外、普段は体にフィットしないかなり大きめの服を好んで着ている。
体よりも大幅に大きいと、服の中はすかすかで冬は風が服の中で吹き荒れて結構寒い。
それでも、やはり大きい服が好きだ。

 そして、やはり靴下も嫌いなまま成長してしまった。
外出時以外はどれほど寒くても素足で過ごす。
帰ったらすぐに靴下は脱いでしまう。
足の周りを布切れが纏わり付いているのが気に食わない。

 その結果、久方ぶりに足がしもやけだらけになってしまった。
大学生くらいまでは、冬になると毎年のように手足のしもやけがかゆいかゆいと
怒っていたことを記憶しているが、
いつの頃からかしもやけに悩まされることはなくなっていた。
暖冬だったり、エアコンやストーブのお世話になっていたりしていたからだろうか。
随分と幸せな環境に身を置いていたのだなぁ、と感慨に耽る。
しかし、思い起こせば近頃の子供でしもやけがかゆいと言っている子は見たことがないような気がする。
過去にしばらく大量の子供達と接する機会があったのだが、しもやけがどういうものなのか、
言葉すら知らない子供も少なくなかった。
子供さえ経験しないしもやけに大人の私がなるとは…。
何と言っていいのやら、だ。

 しもやけは痛痒い。
痛いけれど痒いからといって掻いていると、しもやけの部分の皮膚が崩れてくる。
それがまた痛い。
ゆっくりのんびり優しく気長にマッサージをしていると徐々に治っていくのだが、なかなか…。
特に、手ならば折を見て撫でさすることもできるが足となるとそうはいかない。
仕事中に足をばりばり掻き毟ることもできない。
下手をすると水虫と間違えられてしまうような気がするので嫌だ。
歩くとしもやけの部分が靴に当たって痛いし、座っていると痒くて痒くて仕方がない。
しもやけとは本当に厄介なものだ。

 来年からは真面目に靴下を履こうかしら、いや、きっと履かないだろうな、
などと、くだらないことを考える。
それにしても、痒い…。






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