古本屋さん

 私は古本屋さんが好きだ。
本屋さんは全般的に好きだが古本屋さんは楽しい。
古本屋さんによっては並べ方がばらばらだったりするので
隅から隅までじっくり見る。
前の持ち主にどのように扱われていたかとか前の持ち主がどのような人だったかとか、
陳列されている本を眺めているといろいろなことを想像してしまう。
この本は随分古いけれど保存状態がいいなぁ、余程大切にしていたのかな、
どんな心境で手放したんだろう、悲しかったかな、
この本はまだ出たばかりじゃないか、買ってすぐに売るなんてもったいないな、
まだ新しい本なのに傷だらけだし汚れているし、本を何だと思っているのだ、
ああ、この本は読んだことがあるけれどくだらないんだよねー、
こんな本を買ってしまった人は読んでがっかりして売りに出したのかな、気の毒に、
あっ!この本は絶版になった本だ!本屋さんで探してもどこにもなかったの、嬉しい〜、
等々、感想を織り交ぜた想像が勝手に働く。
もしかすると、古本屋さんにいるときの私の表情はころころ変化しているかもしれない。

 近頃の古本はきれいなものが多い。
古本と呼ぶのはかわいそうなくらいきれいな本が並んでいる。
そのようなきれいな本が正規の値段の平均半額程度で売っているのだ。
私のような本好きにとっては非常に魅力的だ。
理由はわからないが、とてもきれいなのに100円で売っているものもある。
わくわくする。
ただ、時々ありふれた文庫本で文章に赤線まで引いてあるのに、
定価の70%くらいで売っているものもあるので注意が必要なことも確かだ。

 そういえば、一昨年のクリスマスだっただろうか、
一生懸命頑張っている自分にたまにはご褒美をあげようと街に出た。
自分用のプレゼントを探しているうちに古本屋さんに流れ着き、
結局自分へのプレゼントは古本に落ち着いた。
以前から欲しいと思っていたハードカバーの本があったのだが
定価で買うと高いと思って半分諦めていた。
それが、とてもきれいな状態で半額で売っていたのだ。
一生懸命頑張った自分へのご褒美が古本とは、その時は少し惨めな気もしたが
いいものが安く手に入るというのはやはり嬉しい。

 最近は古本屋さんの競争も激しくなったと聞く。
ページの表面を研磨したり埃を吹き飛ばす機械を導入したりもしている
という話をずっと前にニュースで聞いた。
私は本というものを非常に大切に思っていて、買うときは慎重に選び、
一度買った本は何度も何度も何度も何度も読み返して
手放すことなく本棚に詰め込んで、時が経てばまた読み返す。
だから、本を売るということをしないのでいくらで売れるのか知らないが、
たいして高くは売れないだろう。
古本屋さんがどの程度マージンをとっているのかわからないが
高そうな機械を導入できるくらいだから割がいいのだろうか。

 とにかく、きれいな古本を置いてくれる古本屋さんが増えれば増えるほど
私の生活は快適になる。






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