緑の手

 世の中には緑の手を持つ人とそうでない人がいるという。
植物を育てる上でのことだ。
緑の手を持つ人の手にかかると、植物は活き活きと育つというのだ。

 私は緑の手を持たない典型的な人間だと思う。
観葉植物が大好きなのだが、私の部屋にいる観葉植物はすぐに枯れる。
最も多い枯れ方が根腐のようなので水やりの量を減らすと水不足で枯れる。
水はけをよくして普通に水をやってもやはり枯れる。
いつの間にか私の部屋で育つ植物は限定されるようになってしまった。
ポトス・オリヅルラン・ジャックと豆の木。
非常に丈夫だと言われているそれ等以外はうまく育たない。
しかも、生息しているそれ等も何だか元気がない。

 私の失敗の主な理由が水やりにあるのだろうと判断して、数ヶ月前にエアープラントを買ってみた。
土や水の中で根を生やすのではなく、基本的に空中の水分を取り入れて育つという植物だ。
それなら水やりもあまりしなくていいし、宙に浮かせておいても大丈夫なので場所も取らないし、
根腐も起こりにくいだろうし、と思ったのだ。

 だが、枯れた・・・。
何が原因なのかさっぱりわからない。
自分なりにいろいろと調べて毎日様子を見ながら育てたつもりなのだが、やはりだめだった。
こうなると、ほとんど諦めの境地である。

 それが、緑の手を持つ人物が自分の身近にいることを最近発見した。
100円前後で買ったという小さな小さな鉢に入っていたクロトンさんを巨大化させているのだ。
最初はハイドロカルチャーだったらしいが、今は非常に巨大な鉢の土の中にしっかりと根をつけて育っている。
とても活き活きとしていてすくすくと元気に育っている。
私ならば絶対に起こりえない現象だ。

 これまで、緑の手が具体的にはどういうものなのか理解していなかったが、その人物と自分を比べていてふと思った。
その人は、植物に関してのみ、驚くほど愛情たっぷりで適度にマメなのだ。
私は、というと、それほどでもない。
いわば『早く大きくなって頑張ってきれいな酸素を出してくれよ』という程度である。
だから、水をやり忘れたりもする。
そうかと思えば、気にかけ過ぎて水をやり過ぎる。

 結局、今回学んだこと。
どうやら、緑の手というのは特殊なものではなく、たっぷりの愛情と適度な手入れのことらしい。
しかし、それにしても、私にはちょっと難しい・・・。
ということは、緑の手というのはやはり特殊な能力なのだろう。






back
back to TOP世渡り下手の物語










SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送